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第五話 偽りの懐妊

last update publish date: 2026-08-19 21:56:36

玉蘭妃様の懐妊が告げられた瞬間、後宮の喪は形を変えた。

 皇后様を悼む白い布は、まだ柱に掛かっている。

 明霞姉様の血が乾くより早く、女官たちは顔を上げ、妃様方は目の色を変え、宦官たちは走り出した。

 悲しみは、権力の前では長持ちしない。

 昨日まで皇后様の死を嘆いていた口が、今日は玉蘭妃様の御子の話をする。

「これで玉蘭妃様は安泰ね」

「皇子様なら、次の皇后はもう決まりでしょう」

「でも、皇后様が亡くなってすぐに懐妊発表なんて……」

「しっ。聞かれたらどうするの」

「陛下はさぞお喜びでしょうね」

「お喜びどころか、白玉宮へお渡りになったまま戻られないそうよ」

 洗衣局にも、その噂は湯気より早く入り込んできた。

 釜の前で布をすすぐ者。

 喪衣を畳む者。

 香移りを確かめる者。

 誰もが手を動かしながら、耳だけは外へ向けている。

 私は白玉宮から回ってきた喪衣を、まだ洗わずに分けて置いていた。

 袖の内側にあった白い粉は、月琴の指でほとんど消された。

 けれど完全には消えない。

 目に見えるものは薄くなっても、匂いは残る。

 甘く、苦く、喉に引
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